南米淡水イシモチ(バイア産)

はじめに

 日本に輸入される汽水魚の中で、最もその存在を知られてない魚の一つが、恐らく淡水イシモチでしょう。イシモチ(ニベ)の仲間自体は太平洋、大西洋、インド洋と、まさに世界中の海で見られるほどポピュラーな魚で、日本でも近海産のものがよく魚屋さんに並んでいて、白身で美味しい魚としても知られています。また、英名はドラム( drum )、あるいはクローカー( croaker )と呼ばれていて、浮き袋を震わせて鳴くことでも有名です。しかし、この魚が淡水にも生息していて、非常にわずかながら観賞用として輸入されてることはほとんど知られてませんし、熱帯魚の本で見たことはあっても、実物を見たことのある人はほとんどいないでしょう。

 そこで、この一見、海産のイシモチ(ニベ)とほとんど変わりないように思える地味な魚が、どのような魚か、また、飼育下ではどのような魅力を発揮するのかなどを、わずかではありますが、入手した資料などを元に記しておこうと思います。何ともマニアックな魚ではありますが、もし、ご興味がおありの方はご覧くださいませ。なお、後にも述べますが、イシモチ飼育に関しては「飼育マニュアル」ではなく、「飼育図鑑」として記載しております。