南米淡水カレイ(Achirus errans)。2匹いるのがわかる?

はじめに


  現在日本ではたくさんの種類の熱帯魚を見ることができます。その種類はポピュラーなものから珍しいものまで様々ですが、中でもフグやエイに代表される「汽 水魚」は淡水魚と海水魚の両方の魅力を併せ持っていて非常に魅力的です。しかし、その生息環境が汽水であるという特殊性が飼育を難しいものにしているのも 事実で、長期飼育にはゆとりある設備や注意深い水質管理が必要です。さらに問題として種類ごとに必要とされる塩分濃度が異なるばかりでなく、海水魚の姿を しているのに全く塩分を必要としていない純淡水棲のものも多いにもかかわらず、これらの魚をまとめて「汽水魚」とひとくくりにしている点があげられます。


 その中の一つに「淡水カレイ」があります。「カレイが淡水で飼えるの?」と驚かれた人も多いでしょう。日頃は砂に埋もれて隠れていて目だけをちょこんと 出していますが、たまに姿を現してガラス面にペタッと引っ付いたり、驚いた時には砂を巻き上げて再び砂に潜る様子など、まるでゲームの隠れキャラのようで すが、それでいて非常に存在感のある魚です。最近では数種類がコンスタントに輸入されていて、比較的入手しやすくなりましたが、それでもやはりマイナーな 魚だけあって、残念ながら飼育方法が確立されているとは言えないようです。そこで今回、国内でお目にかかれるであろう淡水カレイをできるだけ正確に分類 し、それぞれの種類の飼育方法を紹介することで、一人でも多くの方にこの魅力的な魚と長期にわたってお付き合いしてもらえたらなぁと思っております。