事故


 水質管理や餌付けに成功して、せっかくカレイ飼育が上手くいったと思っていても、ちょっとした不注意で事故により死亡することはよくあり、非常にやるせないものです。事故で一番多いのは、複雑なレイアウトの下や隙間にはさまって死亡するケースです。特に内部に取り付けたフィルターやそのコードの間にはさまることが多い他、やけど防止用に取り付けたヒーターカバーやその内部に入ってしまうことがよくあります。これらのことを防ぐには、できるだけレイアウトをシンプルにし、コードやヒーターカバーは水槽の端や底からやや離すようにして、はさまりそうな箇所をなくすように努めます。また、魚の数が足りないと思ったらすぐにチェックする癖を付けておくと良いでしょう。



 次に多いのは飛び出しによる死亡です。カレイの仲間は夜行性なので夜に活発に泳ぎ回ります。その時に水槽の縁を伝って飛び出し、翌朝干からびて死ぬ事故がよくあります。また、フタをしていても体形の細長い Cynoglossus 属のものは小さい隙間からでも飛び出します。そのため、必ずフタをすることと、コード類のために空けてある隙間をふさいでおくよう心がけます。なお、いったん飛び出した魚はよほどすぐに発見しない限り高い確率で死亡します。また、上手く発見できてもかなりストレスを受けているので、薬浴でトリートメントして病気の感染を防止します。


 それから、ヒーターによるやけども多いようで、その場合も水カビの時と同様の治療をするか、水カビの発生がない場合は、下手にさわらずに様子を見ておくと一週間程で自然治癒します。



 その他の死因として、のどを通らない魚や毒のある魚を食べて死亡することがあります。通常、食べ過ぎの場合は自分で吐き出しますが、小型のナマズなどを捕食した場合、鰭がのどにつかえて長時間取れない場合は窒息死します。その場合はピンセットなどでつかえている魚を慎重に取り出します。また、私の所で飼っていた A. errans がある日、見ためは生きているのに呼吸だけが停止していたので、お腹を開けて見たところ胃の中からバンブルビーフィッシュが未消化のまま出てきたことがあります。バンブルビーフィッシュに毒性があるかどうかについて確かなデータは不明ですが、フグなどの毒がある小型の魚との混泳は避けましょう。