病気


 病気の発生についてですが、私の所でも、水カビや他の細菌性(カラムナリス病(通称尾ぐされ病))の病気がもとで死亡した例がほとんどでした。その場合、体の一部分から白くなり始め、そこから硬直が始まり、ついには全身が白っぽくなって死亡してしまうのですが、この症状が出た場合、すぐに有効な治療をしないとその個体が確実に死亡するだけでなく、かなり高い確率で他の個体にも感染し、ついには全滅してしまうことが少なくありません。もし、あやしい個体を見つけたら、グリーンFとグリーンFゴールド(あるいはパラザン D )をそれぞれ規定量ずつ溶かし込み、水温を 28 ℃位にまで上げ 4 〜 5 日薬浴させると完治しますが、やはり、病気を発生させないのが何よりで、そのためには各種類に応じた徹底した水質の管理が大切です。


 ディスカスなどと高温( 30 ℃以上)で飼育すると著しく呼吸が速くなり、消化管に腫瘍のようなものができて次第に痩せていって死ぬことがあります。このような症状は食後すぐにショックを与えてしばらくした個体にも見られることがあります。従って、極端な高温下での飼育や食後に驚かすことは、カレイにとって非常にストレスになっていると思われるので、このような状況は避けるべきでしょう。


 また、たまに腹腔内(肝臓の上あたり)に水腫ができ、急激に腹部が膨張して死亡することがあります。原因も詳しくは不明ですが、過密飼育によるストレスが原因で感染症をおこしているのではないかと思われます。残念ながら現在のところ有効な予防および治療方法がないようですが、入手可能であればフェノキシエタノールや MS−222 で麻酔をかけた後、小さな注射器で外部から腹部内の液(濁った黄色をしている)を抜き取る方法があります。また、伝染の心配はないようです。



 それから、同じ水槽内での薬浴の繰り返しは耐性菌(薬の効かない菌)の発生の可能性がありますので、できるだけ避けるべきです。しかし、魚を何度入れても同じ症状で死亡する場合は、水槽内のバクテリア層のバランスが崩れて病原菌が蔓延している可能性がありますので、飼育水槽ごと最大 1 %の塩水浴を行い、リセットした方が良いでしょう。