病気

 汽水産の場合、一番多いのは低塩分による死亡です。塩分濃度が 1 / 3 海水を下回っても数日間は生きてますが、ある日突然死亡します。対策としては飼育水の塩分濃度を高くしておきますが、その際、すでに使用している水槽では、急激に塩分を濃くすると濾過バクテリアへのダメージが大きいので、塩分は徐々に濃くしていき、十分な塩水濃度になってから魚を入れるようにします。

 次に深刻なのはアンモニア中毒です。この場合も先ほどと同様、いつもは砂に潜っているはずなのに、ある日突然姿を現します。すぐに換水などの対処をしないと、次第に呼吸が遅くなって体が黒ずんで半日で死んでしまいます。突然とは言いましたが、やはり前兆としていつもより若干体を持ち上げていたりしますので、そのサインを見逃さないようにします。

 その他、汽水産の病気としてよく認められるのは外部寄生虫のチョウ(通称ウオジラミ)です。もし、この寄生虫を発見したら、少ない場合はピンセットで取りますが、大抵は数匹いるのでトロピカル N を規定量よりやや少なめに入れて様子を見ます。それ以外の駆虫剤は魚の即死につながる可能性があるので避けた方が良いでしょう。


 淡水産の場合、細菌性鰓病による死亡がダントツです。水質、濾過槽、底砂、餌の死骸除去、あるいは餌のトリートメントなどが適切でないと、どこからともなく病原菌が入り込んで増殖し、鰓に感染します。感染した個体は次第に呼吸が速くなり、砂から出て大きく呼吸するようになります。その後、少し暴れて死亡します。死んだ個体の鰓を見ると、鰓弁が随分短くなっているのが確認できます。この病気は複合感染の可能性があるため、駆虫と殺菌の両方の治療をする必要があります。症状の進んだ個体では 1 〜 2 ppm のホルマリンと 0.6 〜 1 %の塩水による薬浴を行います。ホルマリンは劇薬なので、常にエアレーションをしながら魚の様子を観察し、苦しむようならばすぐに薬液を薄めます。しかし、完治する確立は 50 %以下なので、もっぱら予防に努めるようにします。


 普通、淡水産のものは 4 〜 5 秒に 1 回という非常にゆっくりとしたペースで呼吸しています。それが 1 〜 2 秒に 1 回になって目に見えて大きく呼吸するようになったら要注意です。ただし、捕食直後と排泄直前、および産卵前も多少呼吸が速くなるのでややこしいのですが、鰓病の場合はずっと呼吸が速いままなので区別が付きます。このような個体を見つけたら、グリーン F とグリーン F ゴールド(あるいはパラザン D )を規定量入れたものに塩分が 0.6 〜 1 %(塩分濃度はゆっくり上げる)になるようにした薬液で 30 分から 4 〜 5 日薬浴します。また、一度病気が発生した水槽は飼育水槽ごと最大 1 %の塩水浴を行い、リセットした方が良いでしょう。