南米淡水イシモチ(ペルー産)

最後に

 イシモチという魚は世界中の海で見られることから、魚種としてはかなりポピュラーですが、やはり先にも述べたような輸送も難しさから生ずる品薄状態のため、観賞魚としては認知度が低いのが現状です。また、ナマズやシクリッドのように、バリエーションの多さや熱帯魚としての派手さがあまりないのも、鑑賞価値につながりにくい理由の一つなのかも知れません。しかし、この魚を飼ったことのある人は恐らく感じていると思いますが、イシモチには他の淡水魚にはない、独特かつ微妙な魅力があります。ある時は流れに身を任せて漂っているかと思うと、餌を見つけたときには脱兎のごとく獲物を捕らえたり。また、種類ごとに習性が全く異なるのも、非常に興味深い点です。

 太古の昔に海水魚であったイシモチが、どのような理由で淡水に住み着くようになったのか。底モノのカレイはストーン・フィッシュとは異なり、遊泳性のあるイシモチは陸封化から逃れることができたであろうに、何故、淡水に住み着くようになったのか。この点も、他の多くの底性や遊泳性の低い汽水魚とは異なり、不思議であると同時に興味をそそられる点です。私がこの、ショップで滅多にお目にかかる機会のないであろう地味な魚を敢えて紹介してみようと思うようになったのも、どうもこの辺りに理由があるようです。ポピュラーだけどマニアック、飼育が容易だけど入手が困難。それが、「イシモチ」と言う魚です。もし、どこかのショップで目にする機会がありましたら、ちょっと観察してみてください。ほな、さいなら。