ちょっとマル科学

Pelochelys 属の分布。そのほとんどがマルスッポンの分布。


 以前はマルスッポンは学名が全て Pelochelys bibroni となってたみたいですが、近年さらに分類が進んで、P.bibroni (ハナガラマルスッポン=マルスッポン)、P.cantorii(カントールマルスッポン=マルスッポン)、P.signifera(ゴマダラマルスッポン)と、3種類に分けられてるようです。で、特にカントールマルスッポンは分布がメチャメチャ広くって、やってくる地域によって顔つきや模様などの特徴も随分と異なってて、いずれはさらに分類が進むみたいですなぁ。
 ゴマダラマルスッポンはほとんど(と言うか全く)入荷がないので実際どんなヤツなのか分からないですが、マルスッポンはコンスタントに、ハナマルスッポンは少ないながらもここ1〜2年でまとまった入荷があってので、データが多少は揃い、両種が混同されることもほとんどなくなったみたいですが、コガシラの時に作ったのと同様の両種の比較を、簡単ですがまとめてみました〜。

Pelochelys cantorii
(カントールマルスッポン)
Pelochelys bibroni
(ハナガラマルスッポン)
マルスッポンの幼体。黄色と黒の斑点があることが多いですぅ。
ハナマルスッポンの若い個体。12センチぐらいまではまだら模様。
マルスッポンの12センチほどの個体。模様はほとんどなくなり無地に。
ハナマルスッポンの30センチ近い個体。はっきりした放射模様が出る。
・幼体は黄色と黒の斑点模様がある。
・大きくなるに連れて模様がなくなる。
・甲羅の表面はツルツルしている。
・鼻は短く、くちびるはあまり厚くない。
・幼体は茶色いモザイク模様に黒い斑点が入る。
・大きくなるに連れて放射状の模様が出る。
・甲羅の表面はおろし金のようにザラザラ。
・鼻は比較的長く、くちびるがかなり分厚い。
P.cantorii P.bibroni の形態的特徴の比較。並べて比べれば一目瞭然だけど、同時に見る機会は少ない・・。

 コガシラ同様、この仲間はかな〜り大きくなるみたいで、共に1メートルを超えるとの記載が多いんですが、実際のところコガシラほどは巨大な個体の情報が少なく、実物や画像でも甲長40センチを超える個体をほとんど見たことないです〜。だからといって決して小型種ってワケではないですが・・。ちなみにうちのでっかいハナマル(現在甲長30センチ強)の場合、手で触ってもかなり大人しいですが、エサをあげると「ドッ!」と言うもの凄い衝撃音とともに水ごと飲み込むし、小さいマルスッポンでも顔の前に指をちらつかせると、突然首を「ビュッ」と延ばして噛みつこうとするので、決して安全ではないですぞぃ。エサの種類は、共通して生き餌(小魚やエビなど)を好むのと、配合餌料にはなかなか(と言うかほとんど)餌付かないようですが、アジや鶏肉などの冷凍エサには比較的餌付いてくれるので、それにレプトミンなどの配合餌料を刺しておくと、栄養のバランスは何とか保てるかと。


 飼育についての印象ですが、やっぱ、決して飼いやすい種類ではないのかなぁ・・と。昔からWC個体(野生から捕獲された個体)については国内で餌付かない上に調子を崩しやすいと言うお話しをよく聞いてたですわぁ。で、まずはマルスッポンから飼い出してみたですが、比較的順調な滑り出しだったものの、3年近く飼育してると水膨れのような症状で逝ってしまったり、元気な個体を別の水槽に移したら途端に拒食になって、そのまま逝ってしまったりと、よく慣れてるように思われる個体でも環境の悪化や急変にはかなりデリケートな面があるですわぁ。また、ハナマルにいたっては、小さい個体の突然死(原因不明)や、12センチほどの個体でも甲羅や頭部に白い腫瘍ができて逝ってしまったりと、安定性がないなぁ〜と言う印象もあるですが、一方で、大きな個体(30センチ程)の場合、甲羅や皮膚もしっかりしていてかなり丈夫な印象があるですわぁ。と言ったワケで、水質についても酸性を好むのかアルカリ性を好むのか、はたまた底砂は敷いた方がいいのか否かと、いろんな意見があるんですが、比較的上手くいった方法から推測して、以下のようにまとめてみますた。

(飼育方法の手がかり・・)
・底砂は潜る性質が非常に強いことから、細かくて水質の変化の少ないモノを敷いた方がいいのでは・・。
(サンゴ砂が良いという意見もあるが、水質がかなりアルカリ側に傾くため、他の砂に混ぜて使用するのがいいかも)
・水質は比較的きれいなモノを好むようなので、定期的に換水するか、濾過をよく効かせて透明度を上げておく。
(水道水に慣れるまではカルキ抜きを入れておいた方が無難。慣れれば問題なさそう)
・水温はやや高め(30度弱〜30度)の方が調子が良く、皮膚に白いモノが付いても高温で剥がれ落ちるようである。
(小さい個体の場合、30度を上回るとヤバイ場合があるので、常に水温が分かる状態にしておいた方がいい)
・やむを得ず入れ物を変える場合であっても、底砂は変えないか、入れ物を大きくして砂が足らなくなったら同種の砂を補う。
(新しい水槽に入れる場合、多少でも前に飼ってた水槽の水ごと移動させた方が良さそう)
・特にハナマルの場合、輸入直後の個体は購入を避け、国内で落ち着いた個体を選ぶようにする。
(頭部や甲羅に白い物体が付着したようになり、そのまま腫瘍になることがある。切除と言う方法もあるが、付着物が小さいうちに水温を上げて、新陳代謝とともに皮膚ごと剥がれ落ちるのを待った方が無難)

 さて、まだまだ安定した飼い方に至っていないのが現状でしが、それでも大きく育てておられる方もいらっしゃるようなので、ワタシもまだまだ試行錯誤しながら今いるマルたちと出来るだけ長〜くつき合っていきたいと思うですぅ〜( ´▽`) なお、このページの内容を完成させるにあたり、貴重なスッポンを提供して下さった方々、および飼育方法の情報について丁寧にご指導下さった方々に、この場を借りまして深くお礼申し上げますぅ〜m(_’_)m